口座を開くのが、こわい。
見るたびにマイナスが増えている。その数字を見るたびに、気持ちが沈む。仕事中でもふと思い出して、落ち着かない。夜、布団に入っても、あの赤い数字が頭から離れない。
もし今そんな状態なら、まず言っておきたいことがあります。
その苦しさは、あなたが弱いからではありません。自分のお金が減っていくのを見て、平気でいられる人のほうが少ないです。不安になるのは、かなり自然なことです。
この記事は、「狼狽するな」「もっと強くなれ」と言うためのものではありません。今の苦しさを少しでも小さくするために、含み損や暴落と、どう距離を取ればいいのかを考える記事です。
怖いと感じるのは、おかしなことではない
含み損を抱えているとき、人はかなり自分を責めます。
そう考えてしまうことがあります。でも、下がっている最中に不安になるのは、普通の反応です。
自分のお金が目の前で減っていく。しかも、この先どうなるか分からない。それを見て、何も感じないほうが難しいです。
怖いと感じるのは、お金を大事にしているからでもあります。だからまず、「怖がっている自分」を責めなくていいと思います。無理に平気なふりをするより、何がそんなに苦しいのかを少し分けて見たほうが、気持ちは落ち着きやすくなります。
下落は、投資の中に最初から含まれている
苦しいときほど、今起きている下落が、特別な事故のように感じます。「こんなはずじゃなかった」「何か大きく間違えたのでは」「このまま全部なくなるのでは」。そんなふうに感じることもあります。
でも、値段が上下すること自体は、投資に最初から含まれているものです。相場は、上がる時期もあれば、下がる時期もあります。ずっと上がり続けることもありません。ずっと下がり続けるとも限りません。
「だから必ず戻る」と言いたいわけではありません。戻る保証はありませんし、元本割れの可能性もあります。ただ、下がったことだけで「自分は失敗した」と決めなくてもいい、ということです。下落は失敗の証明ではなく、投資という仕組みの中に、もともとある動きのひとつです。
「自分が何か間違えたから下がった」と感じているなら、そこは少し切り離して考えてもいいと思います。
含み損は、金額以上に苦しく感じる
含み損のつらさは、実際の金額以上に大きく感じることがあります。たとえば、1万円増えたときの嬉しさより、1万円減ったときの苦しさのほうが強く残る。そういう感覚に覚えがある人は多いと思います。
人は、得をする喜びより、損をする痛みのほうを強く感じやすいものです。だから、数字だけで見ればまだ小さなマイナスでも、気持ちの中ではかなり大きな痛みになります。
さらに、含み損はまだ確定していない損です。売らなければ、損は確定していない。でも、確定していないからこそ、「これからもっと下がるかもしれない」という不安が残り続けます。終わっていないから、ずっと気になる。まだ決着がついていないから、頭から離れない。
含み損が苦しいのは、数字そのものだけが原因ではありません。その数字を見たときに起きる心の反応が、あなたをかなり疲れさせているのです。
苦しいときに、やってしまいがちなこと
含み損が苦しいとき、人はどうしても感情に押されて動きたくなります。
よくあるのは、怖くなって売ってしまうことです。もう見ていられない。これ以上減るのが耐えられない。早くこの不安から解放されたい。そう思って手放したあと、振り返るとかなり低いところで売っていた、ということがあります。
もうひとつは、取り返そうとして無理に動くことです。減った分を早く戻したい。このまま終わりたくない。次で取り返したい。その焦りから、いつもより大きな金額を入れたり、よく分からないものに手を出したりしてしまうことがあります。
どちらも、気持ちは分かります。でも、恐怖や焦りが強いときの判断は、あとで後悔につながりやすいです。「今すぐ何かしなきゃ」と思っているときほど、本当に今動く必要があるのか、一度だけ立ち止まったほうがいいと思います。
怖さの大きさは、人によって違う
同じ金額が同じだけ減っても、感じ方は人によってまったく違います。わりと平気でいられる人もいます。一日中、そのことが頭から離れない人もいます。
これは、強い人と弱い人の差ではありません。生活の状況も違います。収入も違います。家族の事情も違います。お金に対する不安の大きさも違います。
だから、他人が「これくらい大丈夫」と言っていても、それをそのまま自分の基準にしなくていいです。
大事なのは、他人がどこまで平気かではありません。自分がどこまでなら眠れるか。自分がどこまでなら生活に影響が出ないか。そこを見たほうがいいです。
他人の基準に合わせて無理をすると、投資そのものがずっと苦しいものになります。逆に、自分の許容量が分かっていれば、下落が来ても、「これは自分の中では想定していた範囲だ」と受け止めやすくなります。
怖さを減らすのは、根性ではなく設計
では、どうすればこの苦しさと付き合いやすくなるのか。答えは、「もっと強い心を持つこと」ではありません。
今これほど苦しいなら、もしかすると、今の関わり方が自分の許容量を超えているのかもしれません。金額が大きすぎるのかもしれない。毎日見すぎているのかもしれない。値動きの大きいものに、思った以上に入れているのかもしれない。
だとしたら、必要なのは我慢ではありません。自分が平気でいられる範囲まで、関わり方を調整することです。どのくらいの金額なら、下がっても眠れるのか。どのくらいの頻度で見るなら、心が揺れすぎないのか。どのくらいなら、仕事や生活に影響が出ないのか。そこは人によって違います。
損失との向き合い方については、損切りができない理由でもう少し詳しく整理しています。
その怖さは、やり方が合っていないサインかもしれない
暴落や含み損の怖さが、どうしても耐えられないほど大きい。そういうときに、「自分は投資に向いていない」とすぐ決めなくてもいいと思います。もしかすると、投資に向いていないのではなく、今のやり方が合っていないだけかもしれません。
少しの下落でも落ち着かなくなる人が、値動きの大きいものを毎日見続ける。生活に影響が出る金額を入れてしまう。よく分からないまま、まわりに合わせて始める。それでは苦しくなって当然です。
怖さを根性で押さえ込むより、自分に合った距離感に変えるほうが現実的です。もっと放っておける形が合う人もいます。少額からでないと落ち着かない人もいます。値動きを見ない仕組みにしたほうが続く人もいます。
怖いという感覚は、敵ではありません。「今のままだと少し負担が大きいかもしれない」と教えてくれているサインでもあります。
関わり方の見直しについては、投資が怖くて始められないのはなぜかや自分に合った投資スタイルの見つけ方もあわせて読むと、距離感を考えるヒントになります。
今の自分の状態を見てみる
最後に、今の自分の状態を少しだけ確認してみましょう。次の中で、当てはまるものはあるでしょうか。
当てはまるものが多い人は、今の関わり方が、自分の心の許容量を超えている可能性があります。無理に耐え続けなくていいと思います。
もし、下落のことで眠れない・食欲が落ちるなど、生活や心身にまで影響が出ているなら、それは我慢して続ける段階ではないのかもしれません。金額を下げる、しばらく口座から離れる、といったことも、立派な選択肢です。お金のことより、まず自分の生活と体を守ることのほうが先です。
一度立ち止まって、金額、見る頻度、投資との距離感を見直してみる。それだけでも、苦しさは少し変わるかもしれません。
投資は、怖さを感じない人だけがやるものではありません。怖さがあるなら、その怖さとケンカしない形を探すことが大事です。
自分がどのくらいの値動きなら平気でいられるのか。その傾向を知る手がかりとして、2分の無料診断も使えます。