インフレで貯金は目減りする? 貯金だけのリスクと考え方

8investors | コラム
インフレで貯金は目減りする? 貯金だけのリスクと考え方
急かすためではなく、事実を落ち着いて知っておくための話です。

「とりあえず貯金しておけば安心」。そう思って、コツコツお金を貯めてきた人は多いと思います。

実際、貯金は分かりやすいです。銀行に預けたお金は、明日になっても、1年後も、基本的には同じ額のまま残っています。株のように毎日上がったり下がったりするわけではありません。

ただ最近、「インフレで貯金は目減りする」という言葉を耳にする機会が増えました。減らないはずの貯金が、目減りする。それってどういうことだろう。そう感じた人もいるかもしれません。

この記事は、「インフレで損するから早く投資しましょう」と急かすためのものではありません。インフレとは何か。貯金だけで持っていると、どんな一面があるのか。そのあたりを落ち着いて整理するための記事です。

この記事の要点

貯金は、額が減りにくく、すぐ使える安心感があります。一方で、インフレによってモノの値段が上がると、同じ金額で買えるものが少なくなることがあります。これが「貯金が目減りする」と言われる理由です。

ただし、これは「貯金が悪い」という話ではありません。貯金には、生活を守る大切な役割があります。大事なのは、貯金の安心感と、インフレによる見えにくいリスクの両方を知ったうえで、自分に合ったお金との付き合い方を考えることです。

「貯金しておけば安心」は、半分正しい

まず、「貯金しておけば安心」という感覚は、かなり正しいです。貯金の一番分かりやすい良さは、額が減りにくいことです。

100万円を預けたら、基本的には100万円のまま残ります。値動きを見て一喜一憂する必要もありません。急にお金が必要になったとき、すぐ引き出せる安心感もあります。これは、とても大きな価値です。

だから、貯金してきたこと自体はまったく間違いではありません。むしろ、堅実で現実的な選び方です。

ただ、「半分正しい」と書いたのには理由があります。貯金には、額が減りにくいという安心の一方で、少し見えにくいリスクもあるからです。

お金の「額」は減らなくても、「価値」は動く

見えにくいリスクとは、お金の価値が変わることです。貯金の額は減らなくても、そのお金で買えるものの量は変わることがあります。これが、インフレと呼ばれるものです。

たとえば、今まで100円で買えていたものが、120円出さないと買えなくなる。そういうことが、少しずつ起きることがあります。お財布の中の100円玉は、変わらず100円玉です。でも、その100円で買えるものは、以前より少なくなっている。

つまり、モノの値段が上がると、同じ金額でも買える量が減ることがあります。これが、「お金の額は同じでも、価値が目減りする」という意味です。

ここ数年、「前よりいろいろ高くなったな」と感じる場面はないでしょうか。食料品、電気代、日用品、外食。何となくでも、以前より高くなったと感じるものがあると思います。あの感覚が、まさにこの話です。

貯金の額はそのままでも、その貯金で買えるものが以前より少し減っているかもしれない。「貯金は減らない」と「貯金の価値は変わらない」は、実は同じではありません。

でも、これは「貯金が悪い」という話ではない

ここで大事なのは、インフレの話を聞いて、貯金を悪者にしないことです。インフレでお金の価値が変わるからといって、「貯金なんて意味がない」という話にはなりません。

貯金には、貯金にしかできない役割があります。急な出費に備える。病気や事故、仕事の変化に備える。必要なときに、すぐ使える形で置いておく。これは、生活の土台です。

投資は、必要なときに必ず同じ額で取り出せるとは限りません。値下がりしている時期にお金が必要になることもあります。だから、生活を守るためのお金まで、無理に投資へ回す必要はありません。

インフレを知ることは、「貯金をやめよう」という話ではありません。貯金には安心感がある。でも、貯金だけだと見えにくいリスクもある。その両方を知っておく、というだけの話です。コツコツ貯金してきた人が、それを責められる理由はどこにもありません。

「インフレがあるから投資しろ」でもない

もうひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。「インフレで貯金が目減りするなら、投資すればいい」。そう結論を急ぐ必要はありません。

2つのリスクは、性質が違う

インフレによる貯金の目減りは、買えるものが少なくなるという意味でのリスクです。一方、投資では、持っている資産の額そのものが減ることがあります。元本割れの可能性がある、ということです。インフレが怖いからといって、慌てて投資に飛び込めば安心、というわけではありません。

不安に押されて始めると、今度は値動きの不安に振り回されることがあります。インフレは、事実として知っておく。でも、それをどう受け止めるかは、また別の話です。「知ること」と「慌てて動くこと」は、分けて考えたほうがいいです。

不安を理由に急いで始めた投資が続きにくいことについては、みんなが投資を始めても、あなたは焦らなくていいでも整理しています。

知っておくと、慌てずに考えられる

では、インフレについて知る意味は何でしょうか。それは、焦って動くためではありません。知らないまま不安になるのを避けるためです。

「インフレで貯金が目減りする」と聞くと、なんとなく怖く感じます。でも、その中身が分からないままだと、不安だけが大きくなります。逆に、仕組みが分かると、少し落ち着いて考えられます。

ああ、貯金の額が減るというより、買えるものの量が変わるという話なのか。貯金には安心感があるけれど、価値の面では動くこともあるのか。だからといって、全部投資に回せばいいわけでもないのか。こうやって整理できると、必要以上に怖がらずに済みます。

そのうえで、どうするかは自分のペースで考えればいいことです。貯金の安心を大事にしたいのか。一部だけ、別の形も考えてみたいのか。まだしばらくは知識を増やす段階なのか。割合や順番に、全員共通の正解はありません。大事なのは、外からの不安に押されて動くのではなく、自分で納得して決めることです。

貯金と他の選択肢との違いについては、「とりあえず積立」で、ほんとに合ってる?投資の勉強、何から始めればいい?でも整理しています。

今の自分は、どこを考える段階か

最後に、今の自分がどんな状態かを少し確認してみましょう。次の中で、当てはまるものはあるでしょうか。

いくつ当てはまる?
「インフレで貯金が減る」と聞いて、なんとなく不安になっている
でも、インフレの中身はよく分かっていない
貯金はしているが、これだけでいいのか気になり始めた
かといって、投資は怖くて何をすればいいか分からない
まわりの「投資したほうがいい」という声に少し焦っている

当てはまるものが多いなら、今は慌てて何かを始める段階ではないかもしれません。まずは、事実を落ち着いて知る段階です。

インフレを知る。貯金の役割を知る。投資のリスクも知る。そのうえで、自分に合った付き合い方を考えていけば大丈夫です。

自分の傾向を知ると、判断しやすくなる

お金との付き合い方は、人によって違います。貯金の安心感を大事にしたい人もいれば、少しずつ別の選択肢も試してみたい人もいます。値動きが苦手な人もいれば、ある程度の上下なら気にならない人もいます。

だからこそ、周りの声だけで決めるより、自分がどういうタイプなのかを知っておくと判断しやすくなります。8investorsの投資タイプ診断では、16問・約2分・登録不要で、あなたの思考と行動の傾向を整理できます。投資を始めるべきかどうかを決めるものではありません。自分がお金とどう向き合いやすいのかを知るための入り口です。

まとめ:貯金の安心と、見えにくいリスクを両方知る

貯金は、生活を守るためにとても大切なものです。額が減りにくく、必要なときにすぐ使える。これは投資にはない安心感です。

一方で、インフレによってモノの値段が上がると、同じ金額で買えるものが少なくなることがあります。これが、「インフレで貯金が目減りする」と言われる理由です。

ただし、それは貯金が悪いという話ではありません。そして、すぐに投資しなければいけないという話でもありません。大事なのは、貯金の良さと、貯金だけの見えにくいリスクを両方知っておくことです。

焦らなくて大丈夫です。まずは事実を知る。そのうえで、自分に合ったお金との付き合い方を考える。そのくらいの順番で、少しずつ整理していけばいいと思います。

よくある質問

インフレで貯金は本当に目減りするのですか?
貯金の「額」そのものは減りません。ただ、モノの値段が上がると、同じ金額で買えるものの量が減ることがあります。これを「貯金の価値が目減りする」と表現します。額は変わらなくても、その額で買えるものが以前より少なくなる、という意味です。物価の動きは一定ではなく、将来を正確に予測できるものではありません。
インフレが怖いので、貯金をやめて投資したほうがいいですか?
そうとは限りません。貯金には、急な出費に備える、必要なときにすぐ使えるといった大切な役割があり、投資では代わりになりません。一方で投資には、資産の額そのものが減る(元本割れの)リスクがあります。インフレが怖いという理由だけで慌てて投資に飛び込むと、別の不安に振り回されることもあります。事実を知ることと、慌てて動くことは分けて考えるのがおすすめです。
貯金だけでは、だめなのでしょうか?
貯金が悪いということはありません。生活を守る土台として、ある程度の貯金はむしろ必要です。インフレの話は「貯金をやめよう」ではなく、「貯金には安心感がある一方、価値の面では動くこともある」という一面を知っておこう、という趣旨です。どのくらいを貯金で持ち、どうするかに全員共通の正解はなく、自分のペースで考えてよいものです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・サービスの購入や、投資判断をすすめるものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。